詩人でしかない
詩人・中原中也
私にとって詩人といえば、
中原中也……
もう、この名前はね、
アイドルみたいに呼んでしまう。
詩が好きだし。もちろん。
生き様が詩人だし。
自由で、ほぼ詩のことしか考えてなかった人。周囲は大変。
生れてから死ぬまで、
ずーっと詩人でしかなかった人。
中也の友人で、恋敵でもあった、
評論家の小林秀雄が、ある文章の中で、
“生れ乍らの詩人”と、
中也のことを書いていた。
いいなあ、生れ乍らの詩人。
でも、いいなあで、なれるものでもない。
だいいち、生れ乍らなんだから、
生れてから努力したって仕方ないもの。
もう、何年も何年も、詩を書かなくたって、
ちゃんと息ができていた私なんかに、
何も言う資格はないのだ。
それでも書くけど。
あと、中也の詩集の、
全部のページの端を折るんだったら、
折らないのと同じなんだけど、折る。