眠りの南

正座したまま一時間眠れる、そんな主婦の、読み書きと猫の日々

猫も眠って夢を見る

我が家には、猫が三匹いる。

長男猫は、マルという。

三匹の中では、一番年上の五歳。

だと思われる。

というのも、元野良猫だったのを保護されて、

それが縁あって、うちに来たから、

本当の年齢はわからないのだ。

 

黒白の毛をした、小柄なマルは、

少し人間ぽい。

弟猫(本当の兄弟ではないけど)と一緒になって、

いたずらをしているところを見つかると、

自分だけ、ターッとこちらに走って来て、

何やらいっぱい言う。

猫語だから、わからない。

いや、わかる。

いたずらをしていたのは、あいつだけで、

自分は見ていただけだと言っているのだ。

片方は現場に取り残され、ぽかんとしている。

 

マルは、運動があまり得意でない。

高い所へ飛び移る際、

他の猫は、間髪いれず、スッと移るが、

マルの場合は、まず、

目的地までの距離を、目で測っている。

そして、体を少し揺らしながら、

調子をとり、飛ぶ。

ここまでしても、失敗する時は失敗する。

再挑戦はしない。

マル、と声をかけ、なでてなぐさめようとすると、

前足で、私の手をがっちりつかみ、

後ろ足で、ける。

別に痛くはない。

今の失敗によって、

機嫌が悪くなっているのがわかるだけである。

 

そして、何もなくても、

なぜか機嫌が悪くなる。

ぼんやり寝ころんでいたはずが、

突然、立ち上がり、

ぬいぐるみに、かみついて、

ウーウ言う。

 

そんなふうだけど、私は、三匹の中で、

マルが、一番かわいいと思ってしまう。

猫だけでなく、動物がまとめて苦手な私が、

初めてさわれるようになったのがマルだし。

それに、私によく似ているしね。

(他の猫と比べて、格段に)、

眠っている時間が長いところとか。

(ごはんだよ、と起こそうとしても)、

なかなか起きないところとか。

 

突然、何かを思い出し、

悲しくなったり、

怒ったりしてしまうところ。

(マルも、そうではないのか)

 

誰かに伝わるように話せなくて、

しょぼんと、遠いところを見てしまうのよね。

そして、いつの間にか、

その姿勢のまま、眠ってしまう。

 

猫も夢を見ると、読んだことがある。

いっぱい眠って、

いっぱい夢を見ているはずのマルの、

夢日記を、つけられたらいいのに。

私のつけている夢日記と並べたいんだ。

そして、いつか、夢の中でばったり会ったら、

ちゃんと言葉が通じたことを、

それぞれの日記に書こう。

なかなかいい思いつきじゃないか。