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眠りの南

正座したまま一時間眠れる、そんな主婦の、読み書きと猫の日々

金木犀

(私のブログ“ひと夏の 永き”より・詩)

 

金木犀の花たえず咲くところへ

懐かしき者と

安らかなる者は行けるという

 

懐かしんだり 安らかになりたくて行くのではない

その者が 誰かにとって懐かしく

夢とさえ 友のように寄り添える

安らかさを持っているからこそ行けるのだ

涼しい清い空気の中

見渡すかぎり花は咲き

その香りの中で

懐かしき者は 更に価値を増し

安らかなる者は なお軽やかにたゆたう

 

金木犀から遠いところ

澱んだ隅で 私は嘆く

手をひく荷物の 重さと固さを

それは踵にぶつかり続け

両方に不様な窪みができている

 

夜眠ると 花の香りが目にしみる

けれど目をこらしても

美しい園も

心寄せたい者たちも見えない

 

これまでのことを悔い改め 許しを乞うて

花の香りの強い方へ

ついに私は手を伸ばす

 

すると 私のまわり

無限とも思える あまたの手が

私と同じ方目がけ 伸びている光景を

足元から燃え立つ炎に照らされ

夜毎見るのだ